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教員リレーエッセイ(1)-「弁護士の就職と転職」

弁護士の就職と転職


副学長/教授 北 沢 義 博


 書店で、「弁護士の就職と転職(西田章著)」という本が目に付いた。買うほどのも
のではない、と思いつつ、買ってしまった。このような本のニーズがあるようになっ
て情けない、と思う反面、やっと弁護士も、まともな職業として認知されたか、とも
感じた。西田氏は、51期の弁護士で、長島・大野法律事務所に勤務した経験もあり、
現在は弁護士のヘッドハンティングを業としているだけあって、若手弁護士の就職状
況の分析としては、かなり的を得ている。


 弁護士の就職問題といえば、この前の日弁連会長選挙において、「弁護士の就職
難」を前提として、司法試験の合格者増加に反対する候補が「善戦」したことが記憶
に新しい。


 弁護士が「就職する」とは、一体どういうことなのだろうか。また、就職難になる
から、弁護士の数は増やさない方がいいのだろうか。対立候補にやっと勝った、宮崎
新会長も、適正な法曹人口について検討するらしい。しかし、適正な法曹人口とか、
弁護士の数は算定できるものなのだろうか。私を含め、日本人はラーメンが大好きで
あるが、日本人が美味しいラーメンを食べるためには、ラーメン店の数は、どれくら
いが適正か、という議論はしない。ラーメン業界と弁護士業界を同一に論ずることが
適切かどうかさておき、弁護士が広い分野で仕事をすることを目指して司法試験合格
者を増やしてきたのであるから、修習生が従来のように法律事務所に就職できないこ
とを理由に、司法試験合格者を増やすな、減らせ、というのは絶対におかしい。


 「弁護士が生活に困ると不祥事に走る」などというような情けない議論は、放って
おいても淘汰されるであろう。確かに、年間500人合格の時代の我々は、弁護士を職
業として意識しないですんだ、よい時代でもあった。


 弁護士に「就職・転職」という概念はふさわしくない。弁護士として、どのような
場所・環境を選び、どのような仕事をするのかが問題なのである。古きよき時代を懐
かしむのではなく、若い人たちと一緒に、弁護士の働き場所を開拓していきたいもの
である。


以上

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